例会報告
三輪 記子さん

第620回定例会&忘年会

日 時 : 平成25年3月1日(金)18:30〜
場 所 : 全日空ホテル 嵯峨の間
講 師 : 三輪 記子さん (弁護士)
テーマ : 「成せば成る!司法試験からグラビアまでのチャンス・チェンジ・チャレンジ」

弁護士でありながらもグラビアを撮る、という新しい試みをしている三輪記子氏。
講演会中、三輪氏が載っているグラビア冊子が席に回され、彼女のセクシーな雑誌を手元にお話を聞く、という刺激的な会となった。
実際に見た彼女の第一印象は、「綺麗な人だなあ」という一言。
濃紺のワンピースを白いパールのネックレスで上品に着こなし、凛と歩いて壇上に乗った姿は、私の想像していた弁護士像を覆すものであった。

■劣等生から東大へ―華麗なる転身
中学高校と同志社で、いわゆるエスカレータ式に進学してきた三輪氏。周りの人間が大学もそのまま同志社へと進む中、
「人と同じ道を歩む必要はない」
と思った彼女は、東大をめざすことに。かつて同じ教育を受けていた地元の友達が東大などに受かっていたため、自分でも絶対行けるはずだと思ったそうだ。
しかし授業に出ることが嫌いだった彼女の学校の成績はあまり良くなく、先生や友達には批判する人はたくさんいた。
「なぜこの人たちは夢をつぶすようなことを言うのだろう」
そんな思いを抱えながらも集中して勉学に励み、見事東大に現役で合格。すると驚くことに、これまで批判してきた先生はころっと態度を変えて親しげに彼女に話しかけてきたという。
人格は変わっていないのに状況が変わっただけで手のひらを返す人がいる――その事実はかなりの衝撃だったそうだ。 。

■挫折、喪失、復帰―出会いが変えた人生
外交官や官僚になろうと思っていた三輪氏は、東大に入ってすぐに政治研究をするサークルに入部した。一か月ほど所属していたものの、そこにいた部員たちの研究の仕方についていけないと感じ退部。東大に入って早々に夢を断念した彼女は、何がしたいのかよくわからないまま授業へのやる気をなくし日々を漫然と過ごした。当時は一人でよく飲み歩いていたという。
そしてある時毎日飲みに出かける中で、人生のターニングポイントとなる出会いをする。
その人は好きな映画監督。以後飲み友達となる。それ以来機会を見つけては飲み続けたという。
そんなある日。漫然と過ごしたままいつの間にか5回生になり、彼女はふいに彼に怒られた。

「キミは何がしたいんや!。俺は映画の監督や。キミをキャスティングしてやる。弁護士になれ!」

何がしたいのかわからなくなっていた彼女にとって、大好きな監督から言われたその言葉は天啓とも言える言葉だった。そして弁護士になるために勉強を始めた。しかし司法試験に全然受からない。
自分をがらっと変えるしか方法がないと思った彼女は、テレビを捨てるなど自分の好きなものを全て排除。生活を極端にチェンジしたことが合格への決め手となった。

――きっかけとは自分で作るものではなく人がくれるもの――

これが司法試験を合格した彼女の一番の実感だったという。
新しい未来、可能性。選択肢を見せてくれるような人に出会うにはどうすればいいのか?
こういう機会に恵まれたのは
「何かしたい!」と、人と違うレールに乗ったから。そして努力をしたから。
そう三輪氏は語ってくれた。無駄なことは何一つない。彼女は通い詰めた飲み屋でいろいろなことを学んだ。これも徹底的に飲み歩いていたから得られたことであって

「常に考え、努力して、徹底的にやる!」

これが一番大切なのだそうだ。

■挑戦する心―突き動かす思い
次にグラビアのことであるが、これは週刊プレイボーイの編集者と三輪氏がたまたま出会ったことから始まった。「ここに行ったら何かおもしろいことがあるかも」という好奇心に突き動かされたという。

好奇心さえ忘れなければどんなことも学びになる

こんな信念を抱きながらも、グラビアをするかどうかは彼女をものすごく悩ませたという。
『同業者になんて言われるか?弁護士という職業で、グラビアをしている人なんていない。だからこそ・・・!でも・・・、』
そして自問自答する。なんのために生きているんだ?どう生きるんだ?
そして出た答えは
「楽しい人生を生きるため!ここで断ったら楽しめない!」
さらに、負けず嫌いな彼女は「目の前の人(編集者)にチキンやなと思われるのは嫌」とも思い、それも後押しとなったようだ。
「○○だから▽▽だ」というステレオタイプな考え方に違うと言いたかった。はみ出すことが悪いわけじゃない。全然違う現場に行くことで、常に新鮮な気持ちを得られる。
自分の知らない世界に対するリスペクトを持つ・・・いろんな人もいるよね、と認めていける自分でありたいという。
世の中にある現状をありのまま享受するのではなく、「あれっ?」と思わないと人間がさびてしまう。終着点があり、それに向かっていく人生でもいいが、あがいてあがいて、他の人には「結局何がしたいんや?」と言われるような人生もいい。どこに向かっているかわからないけど何かしたい!その気持ちに突き動かされて新しいことにチャレンジし、人生を切り開いていく。

そんな三輪氏はこれからもキラキラしていて、いつまでも若々しくいるのだろうなと私は思った。

  《文責:平野瑞貴(同志社大学政策学部2回生)》