例会報告
原田 博行氏

第619回定例会(トーク&ライブショー)&忘年会

日 時 : 平成24年12月11日(火)
場 所 : モダンタイムス
講 師 : 原田 博行氏(シンガーフォークソングライター&ティーチャー/αステーションDJ)
テーマ : 「メノマエノソノヒトヲアイスルユウキ−ハライダイスの挑戦−」


■ミュージシャン兼高校教師という異色のキャリア
ギターを持ってフォークソングを弾き語るミュージシャン。夢は紅白歌合戦、情熱大陸、徹子の部屋出演。ここまでは、ごく多くのミュージシャンに共通することである。しかし、歳は40を超えており、時には高校でキリスト教学の教鞭をとる。こんな人はおそらく日本にただ一人であろう。それが原田博之氏である。 毎秋、京都市円山公園音楽堂にてワンマンライブ「ハラダイスLIVE」を主催する音楽活動の傍ら、京都の同志社中学・高等学校にて教師としてキリスト教学を教える顔も持つ異色の経歴の持ち主だ。


■コンプレックスを逆手に取ると、唯一無二の存在になっていた
ミュージシャンとして売れるという夢を抱いた20代、週一回のライブ、月一回の新曲を書き続けた30代を経て、気づいたときには40代となっていた。普通であれば、「現実」という二文字の前に「あの頃は夢があった」と、若い頃の情熱を懐かしむ年代であろう。しかし、原田氏は違った。

「今までのコンプレックスを全部ひっくり返したら、
              気づいた時には唯一無二の存在になってたんです。」


20年以上売れることを目指し続けると同時に、教師を続け、本気で紅白を目指している40代の異色キャリアを持ったこの原田氏を「面白い人」として周囲が注目し始めたのだ。


■待つことをやめ、自ら行動すると物事が動き始めた
周囲の注目を集めるきっかけとなったものがある。それは、3年前、京都市内にある円山公園音楽堂にてワンマンライブ「ハラダイスLIVE」を実現させたことだ。3000人の観客を集めることを目標とし、原田氏の挑戦は始まった。そこで、まず必要になるのが資金である。調達のために、たった一人でスポンサー営業に行き始めた。最初はかなり苦労されたそうだが、スポンサーについてくれた店に、それぞれのオリジナルCMソングを提供するというアイデアを思いつき、実行したところ、思いのほか喜ばれた。その甲斐あって、徐々に資金も集まり「ハラダイスLIVE」の実現へとつながった。当日は多くの観客の前で大成功を収められたそうだ。原田氏はこの経験を通じてこう言う。

「待ってないで、自分がやると決意してやり始める。そうすると物事が動き出すということを学びました。」


■被災地に鳴り響くCMソング

2010年3月11日、東北を大地震が襲った。「がんばろう日本」を合言葉に、日本中の人々は自らのできることを探した。その時、原田氏の元へ知り合いから一本の電話がかかってきたそうだ。

「被災地に、原田さんのサウンドロゴを送りたい。」

当時、ある映像作家に、サウンドロゴに映像を付けるといアイデアを提供され、それを持って被災地、石巻市に入った。そこで目を付けたのが、地元の商店街だ。そこで店を取材して回り、作った曲に映像をつけたオリジナルCM動画を作って動画共有サイトYoutubeに上げた。CM動画の中には、店の様子からおすすめの品、さらに飼われている猫の名前というようなプライベートなことまでも取り入れたそうだ。石巻市にエンターテイメント性を持たせ、人が来る仕組みを作るというコンセプトに関心を持ち、多くのラジオ局、新聞がこのプロジェクトを取り上げた。

■ここまで歩んでこれたのは・・・
ここまで夢をあきらめずに歩んでこれたのは、心許せる友達に支えられてきたからだと原田氏は言う。学生時代、友達を友だちにつなげる事をまめにやっていたらしく、異業種感交流会の学生版を頻繁に行っていたそうだ。夜な夜な語り合った当時の仲間のような、利害のない人間関係が励みや支えになっているようだ。そのような、時には競い合い、励まし合える友に会える場であるこの経済人クラブの発展を祈って、最後に「経済人クラブの歌」を歌っていただいた。

■『経済人クラブ』のうた (作詞:原田博行・杉岡秀紀/作曲:原田博行)



始まりは戦後七人の勇士この国のために立ち上がった
時に競い合い 励ましあい 語り合った夜 あの日が今を切り開いた
笑って泣いて 仕事を超えて 「乾杯」が我らの合言葉
繋がる友 我らはよきライバル 経済人クラブ 今日から明日へと未来を描く
歴史を重ね受け継ぐ志 この国への愛で集まって 時に競い合い 励ましあい語り明かした夜 あの日が夢に勇気をくれた
笑って泣いて 世代超えて 「乾杯」がみんなの合言葉
つなげる友 それが世のララバイ 経済人クラブ 今日から明日へと未来を歌う
つながる友 我らは良きライバル 経済人クラブ 今日から明日へと未来を描く



■感想
今回は、原田氏のこれまでの経験を語るトークと、オリジナルソングの演奏が交互に行われ、終始楽しませていただいた。原田氏のお話の中でも特に印象的だったのが、例えすぐには芽が出なくとも、20年以上も地道に音楽活動を続けてこられたということだ。このような原田氏の姿勢から、こんな一説が連想された。

Stay hungry, stay foolish. 〜ハングリーであれ。馬鹿であれ。〜 スティーブ・ジョブズ

「現実を見ろ」の一言で希望を失っていく若者がいる中、原田氏のような「愚直なまでに夢をあきらめない姿勢」は多くの若者のロールモデルとなるのではないだろうか。いつしか紅白歌合戦にて原田氏が出演し、間近で生演奏を見たことを自慢できる日を楽しみに待ちながら、筆を置く。


≪文責:長屋 揮(同志社大学政策学部3回生)≫