第566回大会は報道カメラマン宮嶋 茂樹氏を迎え京都全日空ホテルで開催されました。
<講師講演>
実際にイラクやアフガニスタンで取られた写真をプロジェクタにて投影して講演されました。
■イラク人とイラクの現状
・現在、バグダットとサマワをつなぐ交通が非常に危険地帯となっており、今回の取材でもどちらか一方でしか取材することが出来ず、自衛隊が駐屯しているサマワを取材することにした。
・ボディーガードが一ヶ月、一人を雇うのに250ドルで可能な国である。さらに、最近はボディーガード費用も高騰して1日当たり60ドルほどになっているとこからも異常さが分かる。
・宿泊していたホテルには銃が備え付けられており、それほど簡単に銃が手に入るし氾濫しているのが現状。逆に銃を持つことが犯罪の抑止力になることも事実である。
・暫定政権が成立後にはビザの発行が厳しくなりほとんど機能していない状況。よってイラクへの入国が難しくなっている。
・テロにより爆破されたバスの残骸もすぐに回収される
・イラク人のメンタリティは日本人のそれと比べると非常に理不尽なことを言ってくる。その理不尽さに大声で叫びたくなることもあった。
・サマワのイラク人も自衛隊が人道支援として無料配布している水を商売として販売したり、下水処理に使ったりとせっかくの給水がうまく使われていないように思う。
■自衛隊の現状
・40、50度する気候の中で活動をしており、宿営地のテントの中では調理場などは70度に達することもある。
・物量的には供給が豊富に行われており、売店では日本より安い値段で販売されている。酒と風俗雑誌以外はほぼそろっている
・映画館やジムなども充実しており、食堂に空調が導入されたことで隊員達の食事量が増えたとのこと
・自衛隊員が持っている武器のほとんどが隊員が改造したものになっている。
・現地の日本の外務省と違い、自衛隊は割りと容易に取材を受け入れてくれた。おかげで2週間の取材予定が1週間ほどで終えることが出来た。
■質疑応答
質問:テロ集団に捕まったらどうしますか
宮嶋:そういう人は見つけたくもないし、見つけた時点で殺されてしまう。ただ、そういう人を暴きたいという気持ちはある
質問:今までで、びびったことは?
宮嶋: 戦場に出かけることで危機意識は鈍感になってきている。ただ、泊まっているホテルに戦車砲を打ち込まれたときは
頭が真っ白になった。全く写真を撮ることが出来なかった。
質問:カメラマンとしての感動は何ですか
宮嶋:自分が思い描いていた写真が撮れたときは感動する
質問:遺書は書かれるのですか
宮嶋:3ページほどを毎回、書いて残しておく。最初の2ページはほぼ同様で3ページ目にお金の配分などの事後処理を徹底して
行っている。また、現地で死亡した場合には死体を日本まで輸送すると費用が高いので現地で灰にするように遺書に書いてある
■報道カメラマンとして
・カメラマンとして現実を伝える仕事をする上で、世界を平和にするためになどの美辞麗句はいくらでも言えるが現場で活動していると、そんなことも言ってられない。
・海外や危険な地域で活動していけるのも、帰ってきたい国があるからである。カメラマンとして崇高なことは言わないし、私は本心を言うだけである。
(同志社大学・経済学部3回生 栗栖智宏)
平成16年11月27日(土) 産経新聞に不肖・宮嶋氏の講演が掲載されました。