例会報告
須田 慎一郎氏

【第573回クールビズ例会】

 
日 時 : 平成17年7月26日(火)
場 所 : 京都全日空ホテル
講 師 : 須田 慎一郎氏 (ジャーナリスト)
テーマ : 「あなたも狙われる!! 巧妙化するカード犯罪」












【須田慎一郎氏プロフィール】

1961年東京生まれ。ジャーナリスト・特に金融部門ではエキスパート。
日本大学卒業後、経済紙の記者を経て独立。「金融ビジネス」「文藝春秋」「財界展望」などの執筆活動を続けるかたわら、テレビ朝日「サンデープロジェクト」などの報道番組にコメンテーターとして出演。その他、経済雑誌や夕刊フジ「金融コンフィデンシャル」を連載。政・官・財界での豊富な人脈を基に、数々のスクープを連発している。

第573回クールビズ例会はジャーナリストの須田慎一郎氏を迎え京都全日空ホテルで開催されました。

<講師講演>

■メディアとスポンサー

私自身、出版業界・執筆業界に籍を置いているものとして、いわゆる“スポンサー”の意向にはなかなか逆らえません。例を挙げてみると、消費者金融業界、保険業界の話は最近話題を集めているけれども、私が書いてしまうと、編集の判断でしょうが、記事としては没になってしまうんです。それだけ、メディアはスポンサーに気を使っているんです。だから、最近話題のカード犯罪なんかもあんまり取り上げられない。私は、今日のように『金融・カード犯罪』をテーマとして講演するのがはじめてなんです。
やっぱり、カードが危ないっていうと、銀行からクレームがきますし。この前のサンデープロジェクトでも、私の取材のところで、銀行のところはカットされました。

■スキミング=データの盗み見

実は、スキミングするだけでは犯罪にならないんです。これ、意外かと思われますが
スキミングする機械は、堂々と売ってるんです。SONY製だったり松下だったりの大手が作っているものが、この辺の電気店では無いでしょうが、関西でしたら日本橋とか、関東で言えば秋葉原とかに売っている。堂々と。つまり、カードのデータは皆さんでも簡単に読み取ることが出来てしまう。それだけカード犯罪は起こりやすい。カード、クレジットカードや銀行のキャッシュカーですが、これ実はJIS(日本工業規格)規格です。特許とかもなく、誰でも自由に作れたり、読んだりできる。各金融機関同士で互換性を持たしたりするためですが、これがいけない。誰でも、量販店で機器を購入すれば、他人のカード情報を盗み見できる。今はそんな世の中なのです。

■ではどうしたら安全なカード利用ができるのか?

まずカードには、『ICカード』と『キャッシュカード型ストライプ型』があります。ICカード型は主にクレジットカードなどに、ストライプ型は、銀行のキャッシュカードに使われています。
ICカード型には『接触型』と『非接触型』の2タイプがあります。大手都市銀行などが最近ICカード型に切り替え始めています。『接触型』のICカードは世界で一番安全と言われており、解読するのに10年は掛かるといわれるほど安全性は高いのですが、ここに落とし穴があります。犯罪者側から(偽造カードを作る人間)見ると、カードを解読する必要はないんです。確かにカードに記載してある個人情報を読み出すのも大切ですが、犯罪者側はカードのデータがほしいわけです。データごと抜き取るのは比較的容易です。抜き取ったデータをコピーしてしまえば、解読困難なICカードでも簡単に偽造カードが作れるのです。意外やと思われるかもしれませんが本当です。
こう言ったことがあるから出てきた『生体認証型』。これは個人の静脈を利用して本人確認をするのですが、大根の切り口でも認識してしまいます。
東京三菱銀行は「手のひら認証」、みずほ銀行は「指の静脈認証」と、今のところ銀行によって互換性がない状態です。昔、ビデオテープのベーターとVHSがあった時のように不便であります。いくら安全性が高くなっても不便ではもともこもないです。
また、最近流行のクレジットカードの不正利用。これも後を絶ちません。犯罪者も最近は巧妙で、大口で使わず小口で何回にも分けて長く使い発覚を遅らせている。
一般に送られてきた明細書をチェックしない。これは日本人の文化・特質なのかもしれませんが、明細書をチェックしない、これが一番の原因ですね。チェックしないからこそ小口で使われていても『あんなの買ったかな?』と思う程度で済ませる。これが一番怖いです。アメリカ人はホテルでチェックアウトの時でも明細書をかなり細かくチェックする文化・特質がありますが、日本人は『こんなのチェックしてたら、ケチな奴と思わるのでは』と、人目を気にするのですが、これからはそのような習慣を身に着けることは重要になります。

■この数字を覚えて帰ってください

☆ 0.05%
☆ 0.08%
この数字なんだと思われますか?
これは、みずほ銀行のリテールの収益率です。上の0.05は経費とか人件費とか抜いた後の収益。つまり10000円預かると、5円の利益となります。
次に0.08は何かというと、預金保険料の利率なんです。つまり10000円の預金に対して銀行が預金保険機構に払う保険料が8円。つまり、銀行のリテール(個人部門)は3円の赤字となるんです。だから、最近定期預金しても昔みたいに粗品を貰えなくなってきています。実のところは、ペイオフ後は預金をしてほしくない。預金されればされるほど赤字になってしまう。今の銀行の状況です。

■最後に基本的心構え

カードの安全性や性能がいくら良くなったとしても、他人に暗証番号を教えたり、直ぐに分かるような誕生日・電話番号・車のナンバー等にしておいたりしたら不正利用されてしまいます。
暗証番号の見直しや、暗証番号を入力する時、誰かに見られていないかの確認をする等のごく当たり前な基本が大切です。
『自らの安全は自らで守る』
これを肝に、自分の個人情報は自分で細心の注意を払って守っていってください。

(同志社大学工学部2回 飯田哲史)