例会報告
花田 紀凱氏

【第572回6月大会】

 
日 時 : 平成17年6月27日(月)
場 所 : 京都全日空ホテル
講 師 : 花田 紀凱氏 (WiLL編集長)
テーマ : 時代の先読み!! 発信者からの視点











第572回6月大会は「WiLL」編集長の花田紀凱氏を迎え京都全日空ホテルで開催されました。

<講師講演>

■出版業界と雑誌と私

一年間に国内で出版される書籍数をご存知ですか。実に7万2000点が発行されています。不況と言われる出版業界は市場規模も決して大きなものではありません。その中で私が編集長を務める雑誌「月間WILL」は7月号で9万部と売上数を順調に伸ばしています。本日は、40年間雑誌に関わってきた経験を元に、雑誌と新聞の違い、雑誌の役割とは何かをお話をさせて頂きます。

■雑誌と新聞の違い

よく雑誌と比較される対象に新聞があります。新聞と雑誌を比べて新聞の弱みを3つ挙げるならば、まず、取材力が落ちている点です。新聞記事の80〜90%が発表物の記事になっているのが現状です。2点目は宗教問題や政治問題など金銭・政治的利害関係がある記事には一般論しか掲載できないと言う事です。最後にオピニオンが出せない点。新聞は規模が大きく取材不足もあり、社説などでは意見というよりも一般的な解説になる傾向が強いです。
一方、雑誌ではオピニオンは出せますが、編集長の意向次第という危うさも持っています。また、雑誌は新聞と違い店頭で勝って頂くものです。その為、消費者ニーズを追い求める傾向があります。結果的にスキャンダルやセンセーショナルな広告タイトルになりがちでもあります。

■質疑応答

Q:インターネット社会の今後は?
A:インターネット上には、それは数え切れない情報があります。編集者の役割とは何か。それは、必要な情報を必要な人に届ける事です。つまり、情報が無数にある中で取捨選択をする「編集」が今後より重要になっていくという事です。いろんな形で編集は出来る訳ですし、今後は大きな出版社より、小回りが利く企画力ある少数の出版社が有利になるではないかと思います。

Q:編集者の年収はいくらですか?
A:結論から言えば、大きな出版社では普通のサラリーマンよりも高いですよ。ただ、私が40年も雑誌に関わってきた理由はお金じゃありません。雑誌編集には給料よりも面白い事がたくさんあるからです。この面白さを若い人にも伝えたくて学校もやっているんですよ。

■多角的視点から自分の意見を

雑誌は新聞と違い、多角的な視点を社会に提供する事が特徴です。さらに、他メディアを批判する事も重要な役割のひとつです。影像メディアであるテレビや寡占状態の新聞では報道されない情報がたくさんあります。特定の情報に紛らわされる事無く、あらゆるメディアに目を通して自分で判断を下して頂きたいものです。そのひとつの材料として雑誌を活用して頂けたら幸いです。

(同志社大学・経済学部3回生・栗栖智宏)


【花田紀凱氏プロフィール】

1942生まれ。東京都出身。東京外国語大学英米語学科卒業。

1966年 文藝春秋入社
1988年 「週刊文春」編集長
1994年 「マルコポーロ」編集長
1996年 文藝春秋を退社

その後  [uno!]創刊(朝日新聞社) 編集長
      [メンズウォーカー](角川書店) 編集長
      [編集会議]編集長を経て

現在   ワック株式会社 取締役
      月刊誌[WiLL]編集長
      コラム執筆やテレビコメンテーターとしても幅広く活躍中

主な著書
・『編集者!』(wac) ・ 『手紙力が身につく本』 (中経出版)
・『花田編集長!質問です。 出版という仕事で生きる』 (ユーリード出版)
・『総会屋から見た日本企業 大笑い!「目くそ・鼻くそ」の相違関係』
          百瀬博教氏とコラボレーション(光文社カッパ・ブックス)
・『花田式噂の収集術』 (ベストセラーズ)

 
■ 【花田氏について】
  http://seiwabs.co.jp/genkie/BackNumber/20040221.html

■「月刊Will」ウェブサイト
  http://www.web-will.jp/

※余談ですが、「WiLL」6月号に、経済人クラブ主催の宮嶋氏とひげの隊長こと佐藤正久氏の対談内容が掲載されました。どうぞご覧下さい。


※トークショーのレポートはこちらからご覧いただけます。