■「外交カード」としての気候変動問題
「日本もようやく気候変動の外交ゲームに参戦できたなと思っています」
もちろん、この場合のゲームというのは、遊びのゲームという意味ではない。結論から言えば、これは「外交問題」としての気候変動問題、翻って、気候変動問題が「外交カード」という意味である。それが証拠に、日本では、産業界やマスコミを中心に「 CO 2 の 25 %削減の具体策が見えない」など批判が多いにも関わらず、世界レベルでは、このような批判が全く出ていない。このことは、まさに「 CO 2 削減をどのような内訳でまた、手法や手順で削減するか」その中身自身が、まさに外交の交渉カードとなったことを意味している。気候変動を専門とする福山氏が岡田外相とともに今後国際舞台でどのようなカードを使って、外交ゲームをするのか、国民としてその一挙手一投足が楽しみである。
■私の仕事はお留守番
「岡田さんは、政権発足後1週間も日本にはいない。お陰で私はすっかりお留守番が仕事になりました」
もちろん、これも極端な比喩である。事実は上司である岡田外相があまりにも過密な外交日程をこなされるばかりに、自然と福山氏の役割は国内担当になっただけということである。
しかし、このことも実は日本の外交を考える上ではかなり示唆深い。というのも、大臣の体が国内であれ、国外であれ、日本の外交は現在進行形かつ同時平行で考えなければならない。つまり、外交問題は二枚舌ではなく、一枚岩で考えなければならなく、そういう意味において、この岡田外相と福山氏の関係性というのは、日本国としてある種初めて名実共に「夫唱婦随」でものを言える関係となったといえるからである(逆に、そうでなければ、亭主は家をずっと留守にはできないであろう)。冒頭の 15 分の時間となぞらえて言えば、いわば亭主である岡田外相が留守する日数が、女房役である福山氏の信頼度を表しているのかもしれない。
また、このことは、副大臣というポストそのものに対する意味をも再定義する。つまり、今までの自公政権ではある主名誉職的であった副大臣・政務官というポストが、ようやく水を得た魚のような本来機能を果たしているのだ。国民にはまだまだ見えにくい変化かもしれないが、こういう細かい改善も「政治主導」を掲げる民主党政権ならでは変化と言える。
もちろん、普天間基地の問題、ポスト給油法の問題、アフガニスタン問題、北朝鮮の問題、核の密約問題等々、外交にかかる課題は山積である。しかし、どのような分野でも千里の道も一歩からである。今後短期的には失敗することもあるかもしれないが、「京都の福ちゃん」「民主党の福ちゃん」が「日本の福ちゃん」「世界の福ちゃん」として益々活躍されるために、経済人クラブ一同、聖地・京都からエールを送り続けたい。 |